International Symposium 2012
Neuro-Vascular Wiring
in Nara- Prefectural New Public Hall

 新学術領域研究「血管―神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構」国際シンポジウムおよび第3回班会議が、11月12日から14日にかけて『奈良県新公会堂』にて行われました。国際シンポジウムは国内外の招待演者7名および8名の計画班員による口頭発表、24名の公募班員を交えたポスターセッションにより執り行われました。招待演者により披露された、動脈交感神経叢の形成メカニズム(Anne Eichmann)、心臓血管―神経伴走の成立過程(Yosuke Mukoyama)、新規VEGF依存性軸索誘導メカニズム(Christiana Ruhrberg)などは血管―神経ワイヤリングに関わる、まさに世界最先端と呼ぶに相応しい知見のオンパレードでした。既存概念が塗り替えられていく光景を目の当たりにし、当該分野の世界的競争の激しさに身の引き締まる興奮を覚えるとともに、臓器特異性や器官形成における意義、細胞単位での相互作用など、未解明な点が多く残されていることも実感するに至りました。ポスターセッションでは夜遅くまで活発に討論が行われ、海外招待演者との貴重な情報交換の場となるとともに、当該分野におけるpriorityを海外招待演者にアピールする絶好の機会となりました。
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奈良県新公会堂 能楽ホール。
普段は能楽に使われる舞台は、世界最先端の『脳血管学』の披露の場と化した。
海外演者との議論で印象に残っているものとして、新たな可視化ツールの開発が次なるブレークスルーの鍵であるという共通見解です。本領域の特徴として領域発足以来、血管・神経構造の同時可視化ツールに力を注いできました。今回、各班員から発表されたツールのqualityの高さは目を見張るものがありましたが、実際海外招待演者からのツール提供のリクエストが多数見受けられたのは印象的でした。
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国際シンポジウムは国外の最先端の知見を得るとともに、招待演者との情報交換、領域のpriorityのアピールのための絶好の機会となった。

 

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 班会議は公募班員による進捗の発表・討論が行われました。本領域の特徴は種・臓器にとらわれないヘテロな人員構成による幅広い知識の共有、およびそれにより芽生える意外性・新規性の高い研究です。発足から2年余りが経過し、Science、Nature Neuroscience、Nature Medicine誌などの一流誌に成果を報告するに至りましたが、いずれも領域内共同研究、情報交換により生み出されたものばかりでした。公募研究の進捗はいずれも予想以上であり、各種遺伝子改変マウス、トランスジェニックフィッシュの解析が進み、嗅球介在ニューロンや膵臓、神経幹細胞ニッチ、中枢神経障害モデルなどにおいて斬新な知見が得られており、さらなる発展が期待されるものばかりでした。また、1年前の班会議では全くバラバラであった各公募班の研究に、自発的なワイヤリング現象(共同研究)が多数生じていることも印象的でした(文責 久保田)。

各班員の新たな発見に興味が尽きることは無い。新たな発見は新たなアイデアを産む
 


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 <大阪大学大学院医学系研究科 村松里衣子>

 Neuro-Vascular wiringシンポジウムと第3回班会議に、【02】血管―神経相互依存性を支える分子実体の公募班員として、参加させていただきました。秋の奈良は、少し寒いと感じましたが、会場は激しいディスカッションのために熱気にあふれていました。本研究班は、主に神経の専門家と血管の専門家によって構成されています。神経の研究に携わる私にとっては、血管の専門家からご意見をいただける貴重な機会です。まず、国際シンポジウムにおいて、すべての班員によるポスター発表があり、続いて、昨年の班会議と同様にすべての公募班員の口頭発表がありました。


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ポスター発表では、シンポジストとしていらしていた海外の著名な研究者から、コメントをいただくことができ(しかもポジティブコメント)、とても嬉しかったです。口頭発表は、発表10分、質疑応答5分という比較的コンパクトな構成でしたが、時間の短さを全く感じさせない内容の濃い発表ばかりで非常に刺激を受けました。研究のレベルの高さはもちろんですが、「この1年でこんなに進んだの?」と研究のスピードにも驚くことが多く、全く飽きることなくあっという間に時間が過ぎていったように感じました。また、ツールや技術の供与などで、班員間での共同研究が非常に進んでいることも感じました。質疑応答が途絶えることがなかったこと、そして高頻度に質問する人がいたわけではなかったことからも、参加者全員がすべての研究に大いに興味を持っている様子が伺えました。また、発表の合間の休憩時間や懇親会では、口頭発表時には話せなかった研究内容の細やかな考察や技術面での点に関して、様々な視点からアイデアを交換することができ、とても実りある集まりとなりました。自分の発表に対しても、口頭発表時の質疑応答時間において、多くのご助言をいただき、研究をより深く考える良いきっかけとなりました。また、新しい着眼点からのコメントをいただき、研究の新しい展開に気付かされたことも、とても意義深く感じました。
 ほぼサイエンス一色でしたが、少しの空き時間に美しい紅葉を堪能することもできました。公募班員の方と一緒に鹿に追われたことも、楽しい思い出の一つです。
 本研究班に入れていただき、異分野の研究者と交流を通じて研究を発展させる良いきっかけをいただけたことを非常に感謝しています。今後も、神経と血管のネットワーク形成のように、お互いに良い刺激を与えあって、発展していきたいと改めて思いました。


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<筑波大学医学医療系、解剖学・発生学教室 依馬 正次>

 血管内皮細胞の研究に入り、14年が過ぎようとしていた昨年度、幸運にも「血管と神経」公募班に入る機会を得ることが出来た。昨年の班会議の発表は、(公募班にとっては)初年度ということで顔合わせ的な意味合いが感じられたとともに、阿蘇のリゾート地で開かれたことから、リラックスして臨むことができた。今回は1週間ほど前の望月計画班員からのメールにおののき、直前まで発表準備に追われた方も多いのではないだろうか? かくいう私もその一人であった。会場は、紅葉美しい木々に囲まれた奈良県新公会堂であったが、能を演じる能楽堂において発表するという貴重な機会を頂いたのは、外国からの招待講演者だけでなく班員にとっても又と無い機会だったと思う。後々、良い思い出として残りそうである。

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 初日は、国内外の著名血管研究者の発表からなる公開国際シンポジウムであったが、企画された先生方の御苦労がよく分かる、良く練られた人選だったと思う。血管と神経の相互作用についての最先端の研究が発表され、活発な質疑があった。2日目の班会議の発表では、「イントロは1,2枚で3枚目以降は昨年発表された内容とは重複のない新しい結果のみを提示すること」という通達が良く守られており、目新しいデータばかりであった。今後トップジャーナルに出てくるのだろうと思われる未発表データを含めて、質の高い発表が行われたと思う。同時に、班員の間では、昨年度よりもいかに研究が進展しているか示すことが競われていたように思う。
 国際シンポジウムや班会議の後、懇親会が開催されたが、その後さらに有志で酒を飲むことが出来た。研究以外の班員の側面を垣間見ることができたが、これはこれで班員間の重要なワイアリング形成であると感じたのは、私だけでは無いだろう。
 最後に、筑波に戻ってきて少し熱が冷めて振り返って見るに、今回の国際シンポや班会議において、世界の血管・神経研究を先導する研究者の発表を聞くことで、自身の研究の相対的な位置づけに気づくことができたように思う。血管と神経の密接な関係のように、私も他の研究者とのワイアリングをフルに活かし、世界に発信できる成果をあげていきたいと考えている。


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<Christiana Ruhrberg, UCL Institute of Ophthalmology, University College London>

I felt deeply honoured to receive an invitation from Professor Yoshiko Takahashi to present my work on a vascular growth factor in the mammalian nervous system at the Neuro-Vascular Wiring Conference in Nara. I had only visited Japan once before, when I attended a conference in Kyoto as a postdoctoral researcher.

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That visit has remained one of my best memories of a journey abroad, due to the great science, hospitality and rich cultural heritage I experienced – and it was no different this time! I wish to congratulate Yoshiko and her team on organizing a fantastic meeting with the right balance of lectures and poster discussions as well as the valuable time the participants spent networking over some wonderful food. The scientific topics covered during the lectures were varied and allowed me to acquire new and essential knowledge in a field that is rapidly growing, but has hardly come to the attention of regular meeting organisers. The poster session was stimulating, providing an excellent showcase of cutting edge research from a new generation of young Japanese scientists. The meeting was also a great opportunity for me to meet several eminent Japanese colleagues whose publications I have been following for many years. The serene surroundings in Nara Park with its amazing national treasures provided a serene and inspirational backdrop for stimulating discussions that helped forge new work relationships and promoted the exchange of unpublished scientific knowledge. In a nutshell, this conference will greatly benefit collegiality and scientific advance in a field of research that is becoming increasingly important for biomedicine.

 


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