Muramatsu, R., Takahashi, C., Miyake, S., Fujimura, H., Mochizuki, H. and Yamashita, T. (2012) Angiogenesis induced by CNS inflammation promotes neuronal remodeling through vessel-derived prostacyclin. Nat. Med. advance on line publication
PMID:23042236[PubMed - as supplied by publisher]

 血管-神経ワイヤリングは、発生期の器官形成に重要であると考えられてきましたが、成体組織、特に病態における意義は不明でした。本論文で村松(大阪大学大学院)らは、成体の脳脊髄組織において、血管が傷ついた神経組織の修復をもたらすことを明らかにしました。指定難病である多発性硬化症に類似する脳脊髄炎マウスでは、炎症によって皮質脊髄路(四肢の運動機能を制御する神経回路)が脱落し運動機能が麻痺します。この症状は時間が経つにつれて自然に回復しますが、それは残存する皮質脊髄路から軸索枝が出芽し、神経回路を修復した結果と考えられています。本論文では、この神経再生に先立って、病巣に旺盛な血管新生が起こり、その新生血管がプロスタサイクリンを通じて中枢神経回路の修復を誘導することを発見しました(図)。この結果は、成体中枢神経系における血管-神経ワイヤリングが、傷ついた神経組織を修復させる生体システムとして機能していることを示唆しております。



図:脳脊髄炎誘導後に形成した軸索側枝(緑)
皮質脊髄路をトレーサーで緑に標識してある。脳脊髄炎を誘導すると、病巣の周辺では軸索側枝が多数観察される。
fig01


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