Nishiyama, C., Uesaka, T., Manabe, T., Yonekura, Y., Nagasawa, T., Newgreen, D.F., Young, H.M. and *Enomoto, H. (2012)
Trans-mesenteric neural crest cells are the principal source for the colonic enteric nervous system. Nat. Neurosci advance on line publication
PMID:22902718[PubMed - as supplied by publisher]

血管-神経ワイヤリングは、わたしたちの体の中のさまざまな器官形成において、重要な役割を果たすと考えられます。本論文は、この血管-神経ワイヤリングが腸管の発生のキーステップであることを明らかにしました。腸管神経前駆細胞は、発生においてあらゆる細胞の中で最も長い距離を移動する細胞です。ヒトでは胎齢4週から数週間かけて、食道から肛門に向けて移動しつつ腸管全長に分布し、それにより腸管運動を統制する『腸神経叢』が出来上がります。この移動過程における何らかの異常が、ヒルシュスプルング病(先天性の腸神経叢欠損により重い便秘症や腸閉塞をおこす)の原因であることは知られてきました。本論文で榎本(理化学研究所CDB)らは、腸管神経前駆細胞に特殊な蛍光タンパクを発現する遺伝子改変マウスを作製し、単一細胞レベルでその動きを観察したところ、血管を利用して腸管神経前駆細胞が小腸から大腸へ大幅にショートカットして大腸神経系を構成することを発見しました(図)。この結果は、腸管発生における血管-神経ワイヤリングの異常がヒルシュスプルング病の原因であることを示唆しております。

 

 

 

図:胎令11.0日のマウス腸管に分布する腸管神経前駆細胞(緑)と血管(赤)血管内皮細胞を赤で染色してある。小腸と大腸にはさまれた血管組織(黄色矢印)を横切る前駆細胞(白矢印)が多数観察される。

 
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