2011年日独合同発生生物学会に参加して
熊本大学大学院生命科学研究部 太田訓正   


 2011年3月23-26日にドイツのドレスデン技術大学において、日独合同発生生物学会(JSDB-GFE Joint meeting of Developmental Biology)が開催されました。本学会には領域代表の高橋が参加する予定でしたが、日程が折り合わず、太田が代打としての参加する運びとなりました。本学会のオーガナイザーはドイツ側がElisabeth Knust教授(GfE)、日本側が阿形清和教授(JSDB)で、日本からは約50名の研究者が参加しました。3月11日の東北地方太平洋沖地震の影響により、参加予定であった東北地方の研究者約10名は、残念ながら辞退を余儀なくされました。ドイツ以外のヨーロッパ諸国からの研究者も含めて参加者は計350名に上り、学会は東北地方太平洋沖地震における犠牲者の方々への黙祷からスタートしました。

ドレスデン技術大学。日本、ドイツ他ヨーロッパ諸国から約350名の研究者が集い、日独合同発生生物学会は開催された。

 本領域にとっての日独合同発生生物学会への参加目的は、ヨーロッパ諸国、とくにドイツにおける当該領域の最新の研究動向を収集し、領域研究を加速させることとともに、本領域『血管―神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構』の意義、方向性をヨーロッパの研究者に広くアピールすることです。今回、太田にはポスター3枚分のスペースを与えられました。1枚を太田の最新の研究成果、2枚を領域の紹介に使用しました。榎本研(大阪バイオサイエンス研究所)の川口さんには、素晴らしいポスターを作製して頂きました。

ポスター発表会場にて。本領域「血管―神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構」をヨーロッパの研究者に広くアピールする格好の機会となった。


 今回の合同学会は「日独合同発生生物学会」の名の如く、発生学を基軸としておりましたが、発生、再生、細胞、進化、エピジェネティックス、シグナリングと分野は多岐にわたっていました。本領域の焦点である『血管と神経相互作用』に関しては、その重要性にもかかわらず関連する演題が殆ど無く、世界的に未開拓な分野である印象を受けました。本領域に最も関連した発表の一つはオランダHubrecht研究所のSchulte-Merker博士の発表で、2006年に世界で初めてゼブラフィッシュにリンパ管が存在することを報告しましたが(Curr. Biol. 2006)、その後リンパ管を欠くゼブラフィッシュmutant (full-of-fluid)を見出し、その責任遺伝子がCcbe1(collagen and calcium-binding EGF domain-1)遺伝子であることも突き止めております (Nat. Genet. 2009)。今回は、その延長として数々の興味深い未発表データを報告しました。また、Schulte-Merkerラボにポスドクとして所属する浦崎明宏博士(国立遺伝学研究所出身)はゼブラフィッシュ大血管系形成過程における構成細胞のfateに関する全く新しいメカニズムを発表しました。

大会を通じて、招待講演者のキャンセルや発表時間、発表順番の変更などが相次ぎましたが、実行委員長の阿形先生の御尽力もあり、研究発表は滞りなく進行し、大会は盛況の内に終了しました。

 


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