研究概要 
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新学術領域研究
「血管−神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構」(H22年度発足)

領域研究の目的

 私たち脊椎動物は、体の隅々にまで血管網や神経網を発達させることにより、複雑な高次機能の獲得とその情報処理とを可能にしてきた。これらの血管-神経2大ネットワークが形成されるとき、その3次元パターンは決してランダムではなく、一定の法則に従う。さらに重要なこととして血管-神経の両ネットワークの間には、密接な相互作用(「血管-神経ワイヤリング」)が存在する。両者の機能的ワイヤリングは、血管-神経の明瞭な密着性や、その密着性によるホメオスタシスの調節(例:自律神経による血管収縮)などからもわかるように、生体機能の根幹を支える基盤として位置づけられ、その重要性は主に臨床の現場において古くから認識されてきた。

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 しかしながら、血管-神経ワイヤリングの成り立ちのしくみは、現代生命科学においてはほとんど理解されていなかった。その理由として、近年に至るまで血管-神経の双方をシグナル分子や細胞挙動の観点からリンクさせる解析の糸口が極めて限定されていたこと、そしてなによりも従来の血管研究と神経研究が、それぞれ「異なる学問領域」として別々に発展してきたことなどが挙げられる。
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 これらの背景をうけ、平成22年度に発足した本領域がまず取り組んだのは、血管・神経の同時可視化ツールの開発である。新たに確立した遺伝子改変マウスやゼブラフィッシュは、単一細胞レベルの高解像度な血管-神経ワイヤリングのイメージングを可能とした。これにより、種々の臓器において、血管―神経の形態学的ダイナミクスに関する新たな局面が浮かび上がってきた。分子レベルでの血管-神経ワイヤリングの理解も飛躍的に進んでいる。従来より神経由来の血管新生因子は多数知られているが、血管由来の神経誘導因子に関しては殆ど不明であった。本領域では、この血管由来神経誘導因子を複数見出し、発生期だけではなく、中枢神経変性疾患などの病態のキーとなることも明らかになりつつある。

平成25年度以降も引き続き、コアとなるメンバー8名、および21名の公募研究者の有機的な連携(ワイヤリング)により、血管-神経ワイヤリングを司る普遍的な細胞ダイナミズム、分子基盤を解き明かす。


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