平成25年5月

領域代表らの挨拶「未踏の地を開く楽しみ」


高橋淑子  
京都大学大学院理学研究科 生物科学専攻 動物学教室


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 「血管と神経」の領域研究も後半に突入しました。発足3年目の中間 評価では、「A+」の評価結果をいただきました。領域構成員一人一人がこの新しいテーマに向かって果敢に挑戦し、そして素晴らしい研究成果を挙げたことが 認められたことはありがたいことです。加えて、“血管―神経ワイヤリング”という新しい潮流が我が国で少しずつ浸透し始めたことは、非常に喜ばしいことで す。といって決して慢心は許されません。以前のニュースレター(注)の巻頭言にも書いたように、血管−神経融合研究はとても大きなテーマです。血管と神経の それぞれにまつわる問題だけでも大きな研究分野なのに、本領域ではこれらを融合させようというのですから、かなりの挑戦を覚悟する必要があります。未開拓 の分野にどうやって切り込むか。一番重要なことは、強烈な好奇心に支えられた自由なマインドではないでしょうか。ともすれば、「近視眼的」あるいは「ホッ トだからやっちゃえ(!)的」な研究プロジェクトに甘んじがちな現代社会ですが、地球上の生物界をみわたすと、我々がいかに「無知」であるかを痛感すると ともに、未開拓な研究分野の果てしない広がりを覚えます。血管―神経ワイヤリングの研究者は、未開拓の地を手探りしながら進んでいく高揚感が味わえるとい う特典に恵まれています。是非とも頭を柔らかくして、一緒に研究を楽しんでいこうではありませんか!!
 昨今の我が国の動向として、「学術分野の融合」が声高にうたわれています。しかし、たとえばバイオ-数理とかバイオ-工学など、字面上の融合でお茶を濁 されているケースもないとはいえません(もちろん本腰をいれたプロジェクトもあり、そこからは躍動感のある科学が生まれようとしています)。血管と神経は どちらも「バイオ」ですが、両者の融合がどれだけ意義深いかを実感できたことは、本領域が誇りとするところです。そして近い将来、この融合力をさらに発展 させることにより、ロマンたっぷりの生物学の開拓につなげられたら、バイオロジストとしてこれ以上の幸せはありません。未踏の地を歩むものだけに許される 新鮮な空気をたっぷり吸うことにより、心も体も(神経も血管も)蘇らせて、研究の後半も全力で駆け抜けて参りましょう。


注:2011年(平成23年)発行のニュースレターをご希望の方は、
高橋淑子(add)までご連絡下さい(ただし部数に限りあり)。

 

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